醤油700円

親子三代受け継がれる旭川の名店『青葉』の味を、松坂屋の「大北海道展」催事で堪能したのは、僕が集中してラーメンを食べるようになった初期の頃のことで、もう7年も前のことになる。

その時には、当時親交のあったラーメン好き仲間の集まりで、催事出店のため来名していた三代目店主の村山さんを囲んでラーメン談義に花を咲かせるなんてこともあった。

あれは、今はなき『らーめんらあめん』でのことだったなあ(遠い目)。

とにかく期間中、二度も行って醤油と塩を食べたがどちらも大感激の味で、当時つけ始めたばかりの(今はもうやってないが)ラーメン評価記録で初のA+をつけた程だった。

この時にデパート催事侮れずということを叩き込まれのだが、一切手抜きなしの真剣な一杯には以後、やはりなかなかそうはお目にかかれない。

そんな『青葉』が、最近すっかり興味を持てなくなっていた「名古屋麺屋横丁」にこの10月5日に出店したという。

そもそものラ博出店経験をはじめ、最近では各地ラーメンテーマパークにも手広く出店しており、それほど大きく驚くにはあたらない話ではあるものの、やはりなんとなく嬉しくなって、居ても立ってもいられずに出かけてみた。

かなり久々の麺横の平日昼時は、相変わらずの雰囲気。

閑散としてこそいないものの、各店どこも席に余裕のある状態。

そのなかで『青葉』は比較的入っている方だったろうか。

とにもかくにもまずは醤油から注文。

HPで見た写真もメニューの写真もとにかく安っぽく、テーマパークラーメンの匂いがプンプンして心なしか不安な気持ちではあった。

その原因の一端は、プリント海苔と半熟味玉にあるんじゃないだろうか。

こうしたところの出店では、トッピングで利益を重ねていくのが常套手段なのだろうが、個人的にはこのラーメンには半熟味玉は不要かと思うし、印象を均一化してしまう。

と、思ったらデフォルトではついていないのね。よかった。

さて、しばし待って現れた丼にスープからおそるおそる口をつける。

匂いは充分だが果たして。

いや、7年前の味の記憶がどうだかなんて正直そんなに覚えてるもんじゃないとは思うものの、うっすら蘇ってきたような気がしてくるぐらいだから、それなりに呼び起こすものがあったのだろう。

うん、うまいじゃないか。

巷間云われる程、魚が強いとそれほど意識しはしなかったが、なんだろうこの香ばしさと甘みは。

ラードと醤油がマイルドに各種素材から引き出されたスープを包み込んでいるイメージ。

しっかりスープに絡んだ縮れた麺の食感もいい。

チャーシューは、「肉の味が残った」とは言い難いタイプなのだが、これはこれでスープに合っていて好きだ。

薄くてホロッとくるタイプで、この辺だと『真砂』のチャーシューにもちょっと似てるかな。

全体的には雑味みたいのが取り除かれていてその分テーマパーク仕様を若干感じなくもないのだが、充分に満足できた。

こりゃ久々に麺横に行く楽しみが出来たというもの。